侮辱罪の厳罰化に備え今のうちに過去のネット上の言動で現在も表示されているものを…
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各報道によると、いわゆるネット中傷の問題で、法務省に侮辱罪の厳罰化に関する動きが見られ始めている。1年以下の懲役・禁錮と30万円以下の罰金を追加し、公訴時効を1年から3年に延ばす内容で来年の通常国会に法案を提出する方針とのこと。
詳細については今後の動きによって判明してくると思われる。
法改正の内容が上記のような流れになること自体はやむを得ないのかもしれない。
言論・表現・出版の自由は他人の権利を不当に脅かす自由ではないのだから。
それはさておき…
法改正が実現した場合、改正前にネットに表示させた行為はどう扱われるのか、ということもネット利用者は考えた方がいいかもしれない。
というのも過去には、銃刀取締法により、昨日までは所持が合法だったものが今日から違法、という扱いの事例もあったからである。
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・ 移行期間はどうなるか
銃刀取締法の場合、特定のエアガン・モデルガンなどが法改正により改正前は適法だったが改正後は違法となる、といったケースがあった。
また法令自体は変わらなくても、危険性が判明し看過できないとして、ある時期から違法物と指定されたものもあった。
ここで問題になるのは、適法の時点で入手したものがいきなり違法になったため製造・販売・所持者などを取り締まるのは不当な権力行使になりかねないという点である。
かといって社会の安定上、違法品を野放しにできない。
そこで違法となった日から一定期間内に警察への提出、その他公示された条件に見合うことを完了した者には違法性を問わないとする形で猶予期間を設けたのである。
銃刀取締法以外にも法改正による対応の負担を考慮して激変緩和という形がとられることもある。
今回の侮辱罪はどう扱われるのか。
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・ 現時点では改正後の侮辱罪がどうなるかは、詳細については今後の流れ次第となるが……改正前にしたことだから、が通用しないことも念頭に置いておくべきかも
前述の銃刀関連や激変緩和で違法性を問わないことについては、所定期間内に処置を完了させること、すなわち、違法状態を解除していることが前提である。
仮に法改正の結果侮辱罪が冒頭のようなものとなった場合、改正後の法令で侮辱罪となるネット上の言動で、改正前に表示を開始させたものはどう扱われるのであろうか。
それも、改正後も表示を継続している場合、である。
現在進行形で誹謗中傷を継続していると扱われ、改正前の軽めの処罰や時効が適用されない可能性もないとは言い切れない。
理由として考えられるのが前述の、いきなり厳罰化はやりすぎだが違法状態を野放しにもできない、である。
もちろん、十分な激変緩和のための期間は与えるべきであろう。
また自力では削除が困難なところ、例えば他者が管理しているホームページの掲示板に書き込んでしまい、通常のネット利用では削除が困難なものはどうするのか、ということも考慮した法改正や法の運用も必要になるであろう。
とは言え、ここまで厳罰化の流れが進んでいるのだから、いつまでもヤバイ状況を放置しておくことはやめておいた方がいいと思われる。
法改正の流れに関わらず、ネットに何らかのことを表示させた経験がある方は今一度、厳罰化に備えて過去に表示を開始させたモノを確認して、必要に応じた処置をしていくのが良いと思われる。
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